2016年08月12日

5打席連続敬遠で恥ずかしかった人たち

少し前にテレビ番組で「松井の5打席連続敬遠」について扱われていました。
テレビの映像から、彼らがそのときに何をしゃべっていたかを読唇術(どくしんじゅつ)で読み取るというバラエティ番組です。
「松井の5打席連続敬遠」とは、1992年の夏の甲子園大会で、当時、星稜高校(石川)の4番打者だった松井秀喜に対して、明徳義塾高校(高知)のピッチャーが5打席連続で敬遠をしたという「事件」です。
キャッチャーは座ったままでしたから厳密に言えば敬遠ではありませんが、全球、大きく外角に外れたボールが投げられて、松井はこの試合、一度もバットを振ることなく敗れ去ったのです。
ピンチのときに敬遠するのなら普通の作戦でしょう。
しかし、この試合では、ツーアウトランナー無しでも敬遠(1点差だったのでホームランが出れば同点でしたが)。それどころが1アウト1塁という、同点のランナーを2塁に進めてしまうという場面でも松井は敬遠されたのです。

松井を観にきたお客さんたちは激怒。
9回の最後の打席(2死3塁の1打同点のチャンス)で松井が敬遠されると、スタンドからは明徳義塾に対して「帰れ」コールが起こり、スタンドからメガフォンが投げ込まれるという異常事態になりました。

チャーニーはこの試合をリアルタイムで観ていました。
当時は「なぜ、正々堂々と勝負しない!」「松井も抗議の意味で空振りをすればいいのに!」とスタンドのお客同様に腹を立てたものです。

しかし。
今回、番組を観て、考えが変わりました。

まず、明徳義塾の監督。
「なぜ敬遠をしたのか?」と聞かれた監督は「勝ちたかったから」と即答していました。
監督としてチームの勝利を目指して考えに考えた作戦が「松井を全打席敬遠して、5番打者を全力でおさえる」だったのです。賛否両論はあっても「松井にはかなわない」という潔さがあります。そして、どんなそしりをも受けるという覚悟も。
明徳のピッチャーも立派でした。
監督の指示で松井を敬遠したあと、5番打者を全身全霊でおさえ続けました。
5打席連続敬遠はいわば「5打席連続ヒット」を松井にプレゼントする行為。
わずか1点差の試合で、それだけのアドバンテージを相手に与えながら、5番打者をおさえ続ける姿は清々しいものでした。

そして、一番立派だったのは敬遠された松井です。
チャーニーが考えたように「抗議の空振り」をすることもなく、ひたすらに5番打者を信頼して、黙々と1塁に歩きました。

この試合で、一番恥ずかしい行為をしたのは、結局、スタンドのお客だけだったのです。

スタンドからの「帰れ」コールを、どんな思いで明徳義塾の選手たちが聞いていたのかと思うと、今見ても胸がつぶれる思いがします。
そして、スタンドから投げ込まれたものを片付けにいったのが星稜高校の控え選手たちだったという事実に涙が出る思いでした。

チャーニー個人としては、この連続敬遠には反対します。
高校野球は教育の一貫なので、堂々と勝負して松井にホームランを打たれることもまた、学びだと思うからです。
監督の選択はベストな選択ではなかったと思います。
しかし、それでも。
毎日のように炎天下で練習をしてきた高校生同士の試合に対して、そこで勝つためにどんな作戦が取られようと、「帰れ」コールをしたり、グラウンドにモノを投げ込む権利は、少なくともお客には……ない。

番組では、敬遠を指示した監督だけでなく、明徳義塾のかつての選手にも取材していました。
彼らは皆、松井のその後の活躍を心から喜び、応援をしていたということにも、チャーニーは感動してしまいました。


そうそう、試合終了後に、松井が真っ先に、泣いている5番打者の選手の背中をポンポンと叩く姿も美しかった。

いいものを見させてもらいました。

というわけで、
ではまた。

今週末があなたにとって、よい日々でありますように。


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posted by チャーニー at 09:21| Comment(0) | ライフスタイル? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする